希望を見出せるような試合ではもちろんない。それでも・・・
今夏に加入したエレンは独力でマークを剥がすタイプではなく、コンビネーションも確立されていないため、まだチームとしてうまく活かせていない印象だ。クロスを送っても、相手CBに監視されている川又堅碁にボールが合うことはなかった。
名波監督はハーフタイムで2枚替えを決断。苛立ちを隠せない大久保嘉人、開始早々に致命的なミスを犯しながらその後持ち直した上原力也に代え、荒木大吾と山本康裕をピッチに送り出した。この2人がチームに推進力を生み出すと、51分には田口泰士のゴールで磐田が1点を返した。しかし、相手2トップに苦戦する展開までは変えられない。
61分、マークをものともしないドウグラスに再びネットを揺らされると、72分にもパスミスからショートカウンターを浴び、最後はスルーパスに抜け出した北川にこの日2点目を決められる。さらに、アディショナルタイムには途中出場の村田和哉にゴラッソを許した。
「ゲームの位置付けとしては、我々にとっても清水にとってもビッグマッチだったと思いますが、まずはサポーターに謝罪しなければいけない。大敗という結果、それから前半の不甲斐ない内容と。この2つは間違いなく僕に責任があるので、申し訳ないと思っています」
試合後の会見で、名波監督はこう語っている。最終スコア1-5でタイムアップ。サックスブルーは、ただの1敗以上のダメージを負った。
希望を見出せるような試合ではもちろんない。それでも何かを切り取るとするなら、荒木大吾のプレーには見るべきものがあった。
【次ページ】血眼になってプレーした荒木