運命を分けた85分
一方のリバプールは後半、前線のマネ、サラーが完全に試合から消えていた。メンディやカイル・ウォーカーといった強靭なSBに加え、ジョン・ストーンズやアイメリック・ラポルトを前にしてはなかなか突破をすることができない。一人を振り切っても二人目の対応が早いため、パスを出そうにもそうした時間を十分に与えてもらえなかった。サラー、マネがこうした状況を強いられると、リバプールはなかなかフィニッシュまで持ち込むことができなくなる。次第に守備に回る時間は増えていった。
そして、試合の運命を分ける瞬間が訪れた。85分、途中出場のザネがドリブルでペナルティエリア内に侵入すると、ビルヒル・ファン・ダイクに倒され、マンチェスター・CがPKを獲得した。これを決めることができれば、恐らくはアウェイチームが勝っていただろう。しかし、マフレズの蹴ったボールはゴールマウスを大きく外れ、マンチェスター・Cは絶好のチャンスを逃してしまう形となった。
結局、試合は0-0のまま終了し、お互いに勝ち点1を分け合う形となった。
シュート数はリバプール7本、マンチェスター・Cが6本と圧倒的に少なかったが、中盤の攻防や攻守の入れ替わりが激しかった同試合は、プレミアリーグの首位攻防戦にふさわしい内容だったのは間違いない。
マンチェスター・Cの選手層の厚さ、個の力はリバプールにとってはやはり脅威だった。また、リバプールの組織力と運動量がマンチェスター・Cを大いに苦しめたのも、紛れもない事実だ。
世界中から大きな注目が集まった今回の一戦。シュート数も少なく、得点も生まれなかったが、お互いの良いところを存分に発揮した中での0-0という結果は、この両者がなぜ上位にいることができるのか、その理由を教えてくれるゲームとなったのではないだろうか。そういった意味では、やはり首位攻防戦にふさわしい内容であったと言えるだろう。
(文:小澤祐作)
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