C・ロナウドは最後までサボらない
例えば、1点目のシーン。コーナーキックの守備に入っていたC・ロナウドは、GKヴォイチェフ・シュチェスニーがボールを手中に収めるやいなや、誰よりも早く動き出して前方に走った。そしてGKからのスローを受けると、スピードに乗ったままドリブルで駆け上がる。
前線のパウロ・ディバラを見つけ、DFに囲まれながらもパスを通す。しかし、そこで走りのスピードを緩めない。そのまま前方に走り、右サイドでジョアン・カンセロがボールをキープするのを見て、鋭角に走ってDFを釣り出す。もちろん彼自身も得点を狙っての動きだろうが、これで味方にも飛び込むスペースが捻出された。ゴールを決めたのは、後方から飛び出してきたロドリゴ・ベンタンクールだった。
前線以外のところではエゴを廃した。実にシンプルにボールに触り、周囲を動かすことを心掛けていた。サイドに流れればカンセロやアレックス・サンドロを縦パスの交換で走らせ、ディバラやマンジュキッチにもワンタッチでパスを回し、ボールを失えば回収にも戻った。
さらに後半になっても、足を止めてはいなかった。70分、左サイドに流れて味方にパスをつないだと思いきや、40mぐらいを斜めに走ってゴールへと向かう。そしてエムレ・ジャンの放った左クロスが逸れたところを、ファーサイドに走って相手DFと競り合い、ボールを奪ったのだ。最終的にフェイントをかけた末、フェデリコ・ベルナルデスキにつないでシュートチャンスを演出した。
前線のルーズボールに詰めてコーナーキックをものにしたと思えば、サイドに流れたボールを拾ってタメを作り、ゴール前にクロスを上げる。地味ながら体力が削られるプレーを、試合終盤になってもサボらずにこなすC・ロナウドの姿は実に印象的だった。
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