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Jリーグ 6年前

ウーゴ・ヴィエイラを奮い立たせた伊藤翔との絆。マリノスが掴んだ会心の勝ち点3、その要因

text by 舩木渉 photo by Getty Images

3連勝が持つ意味。札幌戦で求められること

横浜F・マリノス
横浜FMは好循環に入り始めたか。5日の札幌戦で今季初の3連勝を狙う【写真:Getty Images】

 このような味方を活かすためのスペースメイキングや、チーム全体を押し上げるためのポストプレーなど、ウーゴ・ヴィエイラが仙台戦で積極的にこなした地味なプレーは、普段の試合で伊藤が見せている献身性を再現しようとしているようだった。

「今日は気持ちが入っていて、大事な試合だった。2連勝は素晴らしいことで、勢いがつく勝利だったと思う。だけど、そこで満足せず3連勝したい。やっぱりマリノスのような偉大なクラブは残留争いをしているようなクラブではない。素晴らしいサポーターがいて、すごくレベルの高い選手がいるので、ACLや優勝を争っていなければいけない偉大なクラブ。僕たちはそこを目標にいけるようにやっていきたい」

 もちろん「気持ちが入って」いたのはウーゴ・ヴィエイラだけではない。天野純は磐田戦まで体調不良などもあって低調だったが、「このままでは日本代表に呼ばれない」という強い危機感をバネにしてパフォーマンスのレベルを一段上げた。

 守備的なタスクを全うした大津祐樹も、チーム内で生き残るために「変わらなきゃいけない」ともがく。アジア大会で出番少なく終わった悔しさを胸に帰国した遠藤渓太も「このままではいけない」と、結果を求めて貪欲に走った。

 そうやって1人ひとりが胸に秘めた「気持ち」をプレーで表現し、ピッチ上で足し算ではなく掛け算にできたことが、仙台戦の快勝につながった。今季の課題でもある一瞬の気の緩みによるイージーミスから2ゴールを許したものの、それを引きずらず、主導権を渡さずに勝ち切ったことで選手たちの表情も晴れやかだった。

 5日には北海道コンサドーレ札幌戦が待っている。ホームでの連戦になるが、上位相手に連勝できれば残留争いで大きく優位に立てる。そして今季初の3連勝がチームにもたらす勢いは計り知れないだろう。2連勝ですら約2ヶ月ぶり。それも前回は長い中断期間を挟んでの連勝だったのだから。

 確かに9月に入ってから公式戦3試合連続複数得点を記録するなど絶好調で、ゴール以外にもチームに対する貢献度の高かった伊藤の長期離脱は痛い。だが、後ろを振り返っている時間がないのも事実。ここにきてようやく噛み合い始めた歯車を崩すことなく準備を続け、仙台戦と同様に勝利に対して貪欲な気持ちを前面に出して戦うことができれば、終盤戦に向けて大きく弾みをつける勝ち点3が手に入るはずだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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