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セリエA 6年前

「いつものC・ロナウド」がナポリを凌駕する。ユーベが手にした大黒柱、見せつけた力の差

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

「いつものロナウド」は地味なチームプレーも厭わず

クリスティアーノ・ロナウド
クリスティアーノ・ロナウドはチームのために身を粉にして奮闘する【写真:Getty Images】

 そして76分、コーナーキックからボヌッチのゴール。C・ロナウドは右コーナーキックからニアサイドで反応、高い打点のヘディングでボールを捉え、ファーサイドへと落としている。華麗な個人技の一方で、セットプレーにおける地味な仕事も請け負い、プレースキックの受け手として体を張る実直さも持ち合わせているのだ。

 もっと言えば、このコーナーキック獲得に至る流れもC・ロナウドが作り出している。この少し前、ユベントスは退場者の出たナポリにペースを譲り、防戦一方になっていた。すると73分、カウンターからボールを保持した彼は、あえて自身のスピードを緩めて攻撃を遅らせた。これで味方には最終ラインを押し上げる時間が与えられ、自陣ゴール前からようやく脱出。そして流れを掴んで攻撃に弾みをつけ、76分のコーナーキックへと至った。

 リードした後で簡単に流れを渡してピンチを招いてしまうのは、このチームの数少ない悪癖の一つ。それを、C・ロナウドが断ち切った。前節のフロジノーネ戦でも中だるみなくパスの精度が保たれたのも、その老獪さあってのこと。前線でゲームコントロールができるCR7が来たことは間違いなく、ユーベの安定感をさらに強いものにしている。

「常に決定的で、前線で効果的に攻撃を演出する、いつものロナウドだったよ」

 レアル・マドリー時代に指導経験のあるナポリのアンチェロッティ監督が、試合後に記者会見場で述べた言葉が印象的だった。移籍後、公式戦8戦目にして、ロナウドはもういつものロナウド。ユーベのチームプレーに溶け込みチャンスを創出し、牽引役として機能しているのが恐ろしいところである。

(取材・文:神尾光臣【トリノ】)

【了】

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