ヴィニシウスが抱える若さゆえの課題
88分にカリム・ベンゼマとの交代でピッチに送り出されたヴィニシウスは左サイドから積極果敢にドリブル突破を狙った。アディショナルタイムを含めても5分ほどのプレーだったが、アトレティコの選手たちも「お前にはやらせない」とばかりに、最後のパワーを振り絞って激しくぶつかりにくる。
18歳の若者にとってはリーガの洗礼とも言える厳しいプレッシャーに晒され、なかなか持ち味を活かしきることはできなかった。それと同時により高いレベルでプレーする中での課題も見えてきた。
超絶技巧を駆使したドリブルに自信があるあまり、それに頼りがちになって視野が狭くなること。スペースを見つける目はあるが、ボールを引き出すためのポジショニングや体の向き、動き出しに無駄が多いこと。ドリブルが詰まるなどして味方を使おうとする際、パスが雑になりがちなことなど、マドリーのトップチームの主力として継続的にピッチに立つためには改善すべき点がまだ多くある。
今回のアトレティコ戦では前半のみで交代となったガレス・ベイルや、マルコ・アセンシオは崩しの局面で欠かせない存在で、ルカス・バスケスも多彩なプレーで重要な駒の1人であり続けている。虫垂炎で離脱しているイスコも復帰すればウィンガーとして起用されるかもしれない。ヴィニシウスの現状はトップチームならウィングの5番手以下だ。
もちろん3部相当のリーグに所属するカスティージャでは群を抜くパフォーマンスを披露している。ある試合では主審に対して執拗に抗議してイエローカードをもらうなど精神的な未熟さを露呈したが、今月2日に行われたアトレティコとのBチーム同士のダービーマッチでは2ゴールと爆発力も発揮した。何もないところからいきなりゴールを生み出せる才能に疑いはない。
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