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“不思議”だったプレミア頂上決戦。チェルシーとリバプール、入れ替わったそれぞれの強み

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

お互いの長所を消したからこそ…

プレミアリーグ
お互いの強みが入れ替わった珍しいゲームでもあった【写真:Getty Images】

 試合後のスタッツを見てみると、ポゼッション率は47.2%:52.8%、パス成功率は83%:84%とほとんどの面でリバプールが上回っている。

 ポゼッションサッカーをベースとするチェルシーがこういった面で下回るのは珍しいが、リバプールのハイプレスを避けようと時折ロングボールを織り交ぜて変化を加えたり、ジョルジーニョが徹底的にマークされていたから中盤の底から組み立てるのではなく、本来はリバプールの強みであるカウンターでアザールやウィリアンを活かそうという意図があったからこその結果なのではないだろうか。そのため、この試合に関しては、チェルシーがポゼッション率で下回るのは必然だったのかもしれない。

 一方のリバプールはチェルシーの最終ラインがかなり深い位置を保っていたため、ボールを奪っても相手の背後のスペースを突くことが難しく、カウンターという強みを封じられた。

 そのため、ボールキープする時間は必然的に増えていったのだ。しかし、チェルシーの強みであるポゼッションサッカーを消すために、攻撃面で自分たちがボールを持つことは案外有効な手段だったのかもしれない。相手にボールを持たせたくなければ自分たちが持てばいい。相手の隙を伺っていただけという見方ももちろんあるが、この非常にシンプルな考えが、結果論としてチェルシーの長所を消すことには成功したと見ていいだろう。

 お互いがお互いの長所を消し、相手の強みを自分たちのスタイルに盛り込むというなんとも不思議なゲームでもあった今回の直接対決。プレー強度、プレースピードとすべてにおいて高レベルだった両者は、今後も白熱した優勝争いを繰り広げるだろう。

 シーズン終了後に笑っているのは、どのクラブになるのだろうか。

(文:小澤祐作)

【了】

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