今季は今までとは違う
そしてネイマールにも、これまでの左サイドではなく、『10番』の役割を与えている。
「彼自身もこのポジションでプレーするのは好きなはずだ。ここでプレーすることで、ネイマールは左サイドだけでなくすべての攻撃手と絡みやすくなる。より自由に、ゲームの中心でプレーできる。ネイマールが攻撃に絡めば、それだけチャンスが高まるということだからね」とは指揮官の弁だ。
まずシステムがあって、その一コマとして自分があてがわれるよりも、自分たちの特性を見て、それを最大限に生かせるシステムを構築しようとしてくれる指揮官は、プレーする側にとってより魅力的なのではなかろうか。
ネイマール・フィーバーがなんともいびつな形で先走ってしまった昨季を経て、今季のPSGにはより地に足がついた感がある。
カタール体制になってからというもの、イブラだベッカムだと毎年ビッグネームを送り込んではきたが、チームとしてはマンネリ気味になってきたなと感じていたところへ、突如さわやかな風が吹き込んで、再生の感じが匂いだした。スター軍団に混ざって20代前後のイキの良い若手が積極的に使われていることも、チームをリフレッシュさせている。
オーナーたちも「大金を使ったんだからとりあえず結果を出せよ」の段階を通り過ぎて良質なクラブ作りに開眼したのかも。
今季の彼らは、これまでとはちょっと違う『ネオPSG』だ。
(文:小川由紀子【フランス】)
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