ピッチ外でも変化をもたらす新指揮官
唯一の敗戦は、9月18日のチャンピオンズリーグ(CL)初戦、対リバプール戦(3-2)だが、この試合のあとトゥヘルが「我々に必要な修正箇所がどこかがあぶり出された貴重な敗戦だった。これからディテールを詰めていく上で大切な経験」と話したときも、「負け惜しみ」感はなく、実に説得力があった。
そしてピッチ外でも、歯車は順調に回転している。
45歳と若いトゥへルは、統率力は感じさせつつもフレッシュさがあるところが皆に受けている。選手との距離も近い。
1対1で話すときも、オフィスに呼んで、という堅苦しい感じではなく、練習のあとグラウンドに腰を下ろして語り合う、という仲間的なスタイルをとっている。練習場のスタッフなど、誰にでも気さくに声をかけるオープンさも好評なんだそうだ。
ジャンクフードは禁止、といった規律も設けているが、かといって厳しく監視するわけでもなく、むしろ試合前日のホテル宿泊などは撤廃して選手達が自主的に管理することを信頼している。
着任前は、いろいろなメディアが『選手たちの行きつけのナイトクラブを回っては、「うちの選手を試合前夜に見かけたら連絡してくれ」とスタッフにお願いしている』といった情報を流し、コントロールの鬼と言わしめた新監督について戦々恐々と報じていたが、おそらくそういった面は持ちつつも、選手達への徹底の仕方は彼なりに工夫しているのだろう。
そんなわけで、今季のPSGには、これまでになかった、良い意味でリラックスした和やかな空気を感じる。サポーターからも「これまでより親しみやすいクラブになった」という声を聞くようになった。
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