世界的名手の獲得には乗り越えるべき問題も伴う
浦和レッズが埼玉スタジアムのチケットを全席完売したのはAFCチャンピオンズリーグで優勝を飾った時以来だった。日曜日の試合ではアジア王者にふさわしいパフォーマンスを披露し、ヴィッセル神戸を4-0で粉砕してみせた。
しかし、オズワルド・オリヴェイラ監督のチームの戦いぶりは確かに印象的ではあったが、神戸からさほど対抗を受けなかったこともまた事実だ。まとまりがなく組織力を欠いた神戸は守備が崩壊し、攻撃面でもほとんど何もできていなかった。
アンドレス・イニエスタのプレーを生で見るためにチケットを購入していた数多くのファンと同じくらい、神戸の選手たちも背番号8の不在に戸惑っているかのようだった。ファンの間でもメディアの間でも、イニエスタの欠場が大きな話題となったのは驚くにはあたらない。
世界的なスター選手を獲得すれば、ピッチ内外で好影響がもたらされる。たとえばイニエスタが日本で決めた最初の2ゴールもそうだし、Jリーグの露出の面で大きなブームが巻き起こされたことも間違いない。だが神戸のここ最近の苦戦は、そういった選手の獲得には乗り越えるべき問題が伴うことも示している。
その問題の中でも特に大きなもののひとつは、チームの完成度を高めるための質の高い部品として新戦力を組み入れるのではなく、スター選手へのある種の依存過剰に陥ってしまうことだ。試合の勝利を決めるような極上の瞬間をほぼ一人で生み出す力がイニエスタにあることは確かだが、もちろん限度はある。その頻度は彼の周囲のマーケティングが示唆するほど高いわけではない。