パスサッカー実現に大きな効果をもたらしたロナウド
3バックは今季初導入だったが、これが機能した。3CBの中心となっているボヌッチが、影のレジスタとして積極的にゲームメイクに関与。ジョアン・カンセロとファン・クアドラードの両ウイングバックが高い位置でピッチの幅を取り、広げられた相手の守備組織のギャップにディバラやミラレム・ピャニッチがパスを回す。彼らはこのシステムの利点を使い、ピッチを広く使ってパスを回したというわけだ。
だがシステムをいじっただけでこうはならない。パスサッカー実現の肝となったのは、チームプレーの基本姿勢そのものの変化だ。速攻のみならず、時にはペースを緩めながらもボールのキープを続け、相手に主導権を譲らない。ユーベはこのサッカーを終始徹底していた。
リードを奪った後には自陣で堅い守備を敷き、相手に攻めさせながらカウンターで試合をコントロールするのが典型的な彼らのスタイル。だが今季はそこから一歩進んで、常に攻撃でのイニシアチブを握ろうとする姿勢があった。ボローニャ戦は、それがもっとも効果的に発現した試合だ。
そしてロナウドの存在は、パスサッカーの実現においても大きな効果をもたらしていた。個人技に固執せず迷いなくボールを離して、シンプルに味方とのパス交換を織り交ぜる。ディバラとポジションを変え、前後左右に動きながら、前線のつなぎ役として90分間に渡り攻撃を組み立てた。
CL優勝を目指す上では、当然力の上乗せが必要になる。それには戦力補強のみならず、チーム攻撃や組み立ての質の向上も肝要となるのだ。次節の相手は昨季優勝を争ったナポリ。攻撃的な姿勢を持つライバルとの一戦は、ユーベにとってはリーグの優勝争いのみならず、CLでの躍進においても重要な指標となりそうだ。
(文:神尾光臣【イタリア】)
【了】