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Jリーグ 6年前

名古屋・前田直輝は「ウルトラマン」。残留争いで放つ輝き、23歳が持つ底知れぬ潜在能力

text by 藤江直人 photo by Getty Images for DAZN

真価が問われた川崎F戦

 鹿島アントラーズを4‐2で、浦和レッズを4‐1で、そしてジュビロ磐田を6‐1でねじ伏せるなど、怒涛の7連勝を達成した第25節終了時の9月1日には11位にまで浮上。リーグ全体が混戦という状況で上位進出をうかがう勢いすら見せていたが、一方で気になる部分もあった。

 それは、失点の多さとなる。連勝中で相手を無失点に封じたのはわずか一度だけ。不安定さをのぞかせていた守備が崩れた15日のV・ファーレン長崎戦では、3ゴールを奪いながら4失点を献上して敗れた。連覇を目指して2位につけるフロンターレのホーム、等々力陸上競技場に乗り込んだ22日の明治安田生命J1リーグ第27節はまさに真価を問われる90分間だった。

 果たして、迎え撃つフロンターレは入念な対抗策を練っていた。まずはトップ下の中村憲剛が、今夏までチームメイトだったエドゥアルド・ネットに激しく、タイトにプレッシャーをかけ続けた。

「名古屋が後半戦で躍進したキーマンの一人でもあるし、彼がまずボールをもつことからすべて始まることは映像を見ていてもわかっていたので。ウチでもそうでしたし、ならばウチにいたときにネットがやられて嫌だったことをやろうと。ネットにボールを触らせないポジションを取りました」

 相手にやられて嫌だったことはまだある。攻守の切り替え、特に攻撃から守備へのそれを素早く、なおかつ激しく繰り返す。ともに標榜する「ボールを止める、蹴る、動く」のうち、フリーになるために最も重要になる「動く」を、プレッシャーをかけ続けることで封じ込める。中村が続ける。

「自分たちの攻撃で相手を走らせたい、ボールを握りたいという志向をもったチーム同士の戦いだったので、そこは当たり前のように上回りたかった。取られたらすぐに取り返しにいったし、球際のところでは全員がいつも以上にタイトにいけたと思う」

 パスコースが限定された結果として、フロンターレが標的を定めてかけてくるプレッシャーをまともに受けた。ファウルを厭わない執念を放つ相手に、キックオフ直後から気圧され続けた展開を、風間監督は独特の表現で振り返った。

「自分たちに見えないものを相手にしてしまった。簡単に言えば、当たり前のものが当たり前に見えなければいけないところで、自分たちのなかで錯覚を起こしてしまった」

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