監督交代後初めての試合は大敗
「何かを変えなきゃいけないので、今日は結果が伴っていないですけど、変わるには必要な試合だったと思います」
23日に行われた浦和レッズ戦の後、ヴィッセル神戸のMF郷家友太はそう力強く語った。吉田孝行監督が解任され、新体制で臨んだ初めての試合は0-4という大敗に終わった。
アンドレス・イニエスタは負傷欠場。埼玉スタジアム2002を埋めた5万5000人を超えるファンは落胆しただろうが、神戸がトライしようとしたことからは、これから始まるチーム再構築における方向性が垣間見えた。
林健太郎暫定監督の仕事は、前体制から新体制への“引き継ぎ作業”とも言えるもので、ファン・マヌエル・リージョ新監督の志向するサッカーとかけ離れたことをしているわけではないだろう。むしろ次のステップに繋がる要素をふんだんに盛り込んでいるはずだ。
浦和戦が終わった後、林監督は「我々が目指すのはボールを持ち続けるというコンセプトです」と宣言した。力のある浦和相手にアウェイでも「中盤で人数をかけて優位に立ちたい」という狙いもあって、3-5-2へのシステム変更も決断した。
試合が始まってピッチを見渡すと、神戸の布陣はこれまでと明らかに異なっていた。3バックの左ストッパーには本職が左サイドバックの橋本和が配置され、アンカーに藤田直之、ルーカス・ポドルスキと郷家がインサイドハーフに入り、三田啓貴は左ウィングバックの位置にいた。2トップが長沢駿とウェリントンのツインタワーなのも、何かしらの狙いがあるように見えた。
だが、この新システムは機能しきらなかった。ボールを保持する時間は長くなったが、インサイドハーフの2人にパスが入らず、しびれを切らしたポドルスキは下がってボールを受けにくる。本来は高い位置でポゼッションしたかったようだが、浦和が形成する守備ブロックの外でパスを回すしかなく、攻め手を欠いた。