選手とのコミュニケーションを経て改良された食事の摂りかた
さらに、ドームが栄養バランスを計算したうえで給食会社に依頼し、選手たちに朝、昼、晩と日替わりメニューで提供されている食事『いわきFC定食』にも改良が加えられた。以前は3食ともに1200キロカロリーずつが用意されていたところを、今年1月から朝食が700キロカロリーに減らされた。
「選手たちといろいろ話していくなかで、練習前に1200キロカロリーの朝食を食べると練習ができない、あるいは練習のために朝食を取らない、減らしているという声が多かったんですね。食べた物が胃のなかに入ったまま練習をすれば嗚咽の原因になることもあり、それでは練習中のパフォーマンスを下げかねないので、朝食は減らしてもいいんじゃないか、となりました」
こう振り返るのはドームの「ドームアスリートハウス ニュートリションチーム」に所属する、栄養士の資格をもつ田中初紀さんだ。入社2年目の田中さんは、昨年末まではサプリメント事業部に所属。今年から担当しているいわきFCのもとへ定期的に通い、食事や摂取するサプリメントに関して、スタッフや選手たちと密にコミュニケーションを取っている。田中さんが続ける。
「いままで以上に、食事もトレーニングの一環という意識で取り組んでいます。食事は給食会社さんに組んでいただいたメニューを私どもで一度確認し、そのうえで『試合が近いので、もうちょっとこういう栄養の食事内容にしてください』といった具合に修正しながら、提供させていただいています。
サプリメントに関しては、絶対に全員が摂取しよう、というベースをまず決めます。そのうえでけがをしている選手や、血液検査の結果が低かった選手は別のサプリメントで補う形にしています。選手一人ひとりでまったく違うので、そこはよく見るようにしています」
朝食を700キロカロリーにした分、昼食と夕食はともに1400キロカロリーずつで作成されるようになった。一日におけるサッカー選手の推定エネルギー必要量をあらためて算出した結果として、合計で3500キロカロリーという数字が弾き出された。
ある日の昼食と夕食をそれぞれ取材した。前者は「主菜:豚しゃぶ塩だれ添え、副主菜:サワラの山椒焼き」で、後者は「主菜:サーモンムニエルのトマトソース、副主菜:鶏ささみのマリネ」で、それぞれに「ライス、汁物、小鉢、乳製品、卵、果物」がついている。