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いわきFC、さらなる進化への試行錯誤。鍛え上げた肉体、その力を最大化するアプローチ【いわきFCの果てなき夢】

シリーズ:いわきFCの果てなき夢 text by 藤江直人 photo by Editorial Staff

遺伝子検査の効果

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2年目の19歳、DF高橋大河【写真:フットボールチャンネル編集部】

 さかのぼること昨年1月には、日本サッカー界でもほとんど前例のない遺伝子検査を実施。採取した唾液によって選手たちはパワー系、持久力系、その中間系に分類され、遺伝子の型によって一人ひとりのトレーニングメニューも見直された。

 攻撃系の選手に向いている、とされるパワー系の遺伝子をもっていると診断された吉田知は、検査後のトレーニングの変化をこう振り返る。

「ストレングストレーニングのグループも、遺伝子のタイプごとに分けられました。僕の場合、上げる回数はそれほど多くないんですけど、その代わりに重いものを素早く上げる内容でしたね」

 たとえばパワー系の選手が100kgの重さを連続して5回、素早く上げるとすれば、持久力系の選手は50kgの重さをゆっくりと10回上げる。個々の特性に合わせたメニューを組むことで、トレーニング量と骨格筋量が増えるスピードがシンクロするようになった。

 中間系と診断された一人で、地元・福島県の強豪・尚志高校から加入して2年目の19歳、DF高橋大河も1年あまりで体重が62kgから70kgへと増えた。球際の攻防で負けなくなった一方で、嬉しい悲鳴もあげている。

「高校時代の服が着られなくなりました。特にジーパンはちょっと無理ですね。ウエストは大丈夫なんですけど、太ももの部分がパンパンで入らなくて。小さな作り目のTシャツもきついですね。肩回りなどがパンパンで。買い換えないといけないですね」

 もっとも、つかの間のオフになっても「基本的には家にいますね」と苦笑いを浮かべる。午前中に約2時間半のトレーニングを消化。昼食と休憩を取ってからは、同じ敷地内にあるドームの物流センター「ドームいわきベース(DIB)」で勤務し、終了後は自主的にストレングストトレーニングも積む。

「帰宅してからは洗濯機を回して、洗濯物を干したらすぐに寝る毎日です。オフも暇があればずっと寝ていたいと思っちゃうので。でも、すごく充実していると感じているんです。同世代の自分の友人たちと比べても、こんなに忙しい日々をすごしているのは恐らく僕くらいのはずなので」

 高橋が思わず苦笑いを浮かべた一日の流れをあらためて説明すれば、DIB内にある食堂『DNSパワーカフェ』で午前7時から朝食を取ることができる。一部を除いた選手たちは「DIB」を運営する株式会社ドームユナイテッドの社員で、クラブハウスや練習場「いわきFCフィールド」がある敷地の近くに住んでいて、朝食に間に合うように車で通い、午前9時から始まるトレーニングに備える。

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