守って、守って、守って
若い戦術家モレーノ・ロンゴ監督のもと、準備してきたのはゴール前のスペースを消しまくる組織守備。5バックを敷いて中央もサイドも、またその中間のスペースも丁寧に埋めた。中盤の選手も最終ラインとの距離を縮め、サイドでも中央でもすぐに複数で相手を挟み込めるような連係を保った。守備に参加したのは前線も然り。今季初先発となったコスタリカ代表FWジョエル・キャンベル、そして大型のクロアチア人FWスティぺ・ペリツァも、懸命にプレスをかけてユーベの組み立てを阻害した。
ユーベの攻撃に対する対策もよく練られていた。C・ロナウドがボールを持てばすぐ3、4人で囲み、個人技を繰り出すスペースを与えない。パウロ・ディバラがボールを持てば、ペナルティエリア内に人数をかけて外へ締め出す。マリオ・マンジュキッチを狙ったパワープレーも読んでおり、空中戦によるクロスの遮断と、ペナルティエリア内に落とされたボールのケアを集中して続けていた。
そんな彼らに、ユーベは手こずった。ボール支配率は7割を超えるのだが、ペナルティエリア内には常に人がいてシュートを打たせてもらえない。とりわけ、フロジノーネのセンターバック3人の存在は厄介だった。エドゥアルド・ゴルダニーガやマルコ・カプアーノに厳しく体を寄せられ、裏を狙ったボールはバルトシュ・サラモンやアンカーの選手に弾かれ続けた。
その組織守備を解体するため、マッシミリアーノ・アッレグリ監督も細かくチームの修正を図った。エムレ・ジャンに中盤の底を任せ、これまでアンカーを務めていたミラレム・ピャニッチを前目の位置で使った。後半からはチャンピオンズリーグ(CL)のバレンシア戦での消耗を考えて温存していたフェデリコ・ベルナルデスキを投入し、サイドの突破と飛び出しに厚みを加えるという変化も出した。しかし、それでもフロジノーネのセンターバック3人はユーベのFW陣から離れることはなかった。