誰もがユーベ圧勝を予想したが…
「実は我々もクリスティアーノの獲得に乗り出していた。残念だ。セリエAにようこそ!」
ユベントスがクリスティアーノ・ロナウドの獲得を発表した7月10日、フェイスブックの公式アカウント上でそんなメッセージを掲げたセリエAクラブがあった。フロジノーネだ。
もちろんジョークである。メッセージには涙を流して笑う顔文字がつけられていた。そして、彼らがそんなビッグディールを仕掛けられるとは誰も思っていなかった。ローマとナポリの中間に位置する小都市をホームとし、2018/19シーズンの選手総年俸はおよそ1085万ユーロ(約14億円)。C・ロナウドひとりの年俸のほぼ3分の1という小規模クラブだ。
さらに2年ぶりにセリエAに復帰した今季は、昇格プレーオフへの参戦が響いてチーム編成が遅れた。セリエAでも即戦力となる選手の補強を図ったはいいが、戦力が揃ったのは開幕間際。やはりチームは形にならず、開幕4戦で1分3敗。アタランタには4失点、サンプドリアには5失点を喫している。23日のユベントス戦を前に、誰もが王者の圧勝を予想した。
しかし、簡単に戦前の予想通りにはならないのがスポーツの深遠なところだ。結果としてユベントスの勝利で終わったものの、ユーベにとっては非常に骨の折れる一戦となった。これまでお世辞にも守備が堅いと言えなかったフロジノーネは、80分間に渡ってユーベの攻撃を退けていたのである。