「出遅れたのなら出遅れた分を取り返せばいいだけ」(香川)
ファブレ監督は「全てのボールロストがホッフェンハイムによる危険なカウンターに繋がった。攻撃するならば、ボールを失うことを予想しなければならない」と振り返ったが、“最適解”を見つけ出すため、メンバーが試合毎に入れ替われる現状では、ロスト時の守備を徹底することもままならない。
ドルトムントはボールを失う度に、ドイツ代表DFニコ・シュルツの化け物じみたオーバーラップに苦しめられた。さらに前半終了間際、ジョエリントンの屈強なフィジカルに翻弄されると、44分、遂にこのブラジル人FWに先制を許してしまう。
後半に入ると、さらに劣勢に立たされるドルトムント。47分、マヌエル・アカンジの縦パスはカットされてカウンターを食らう。50分、ビデオ判定に救われたが、ショートコーナーからビカクチッチにヘディングであわや2点目を奪われそうになる。54分、シュルツの猛牛のような突進に苦しめられる。
そんな中で迎えたのが、55分の決定機だったのだ。決まっていれば起死回生の一撃だったが、香川は決め切ることができなかった。その技術を持ってすれば、本来であれば軽やかに決めたはず。今季初の先発出場を飾ったとは言え、公式戦の出場はこのホッフェンハイム戦が2試合目。ブルージュ戦に比べて良くなったとは言え、まだまだ「コンディションは上がって」いないようだ。
また、ブルージュ戦の試合後、香川は次のように語っていた。
「出遅れたのなら出遅れた分を取り返せばいいだけ。その時間と試合数は十分にあると思う」
10月の代表ウィークに入るまで、過密日程は続く。「試合数は十分にある」。どんどん「試合に絡み続け」、コンディションを取り戻して、ゲームの行方を占う好機は確実にモノにしたいところだ。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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