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Jリーグ 6年前

窮地の柏レイソルが得たもの。悔い残るドローも“過去”を払拭、ポジティブだった試合の終わり方

text by 青木務 photo by Getty Images for DAZN

序盤の失点回避で手にした好循環

 一人ひとりが自発的にアクションを起こすことで、ボールの流れにリズムが生まれていた。それを繰り返すから出し手と受け手の呼吸も合い、スムースな連係によってリズムがさらに良くなるという好循環を手にした。

 これまでのレイソルは、前半早々に失点することで試合を難しくしていた。追いつき、逆転するための時間は多く残されていたとはいえ、盛り返すのは決して簡単なことではない。焦りや気負いも少なからず生まれる中、チームは連動性を欠き、結果的にチグハグなサッカーが展開された。

 一方で鳥栖戦はビハインドというストレスがなく、経験豊富な選手たちが声をかけてくれるため集中力が途切れない。前半のシュート数は3本にとどまったが、そのうちの一本をゴールに結びつけている。

 40分、小池龍太がオルンガに当てて出て行くと、ケニア代表ストライカーのポストプレーから大谷がスルーパスを通す。走り込んでいた小池が相手の裏を取ると、速くて丁寧なラストパスを瀬川祐輔が右足で合わせた。

 大きな価値のあるゴールだった。小池のスプリント力とクロスの精度、オルンガのパワーと懐の深さ、大谷の的確なパス、そして瀬川の得点感覚。チャンスの場面でそれぞれが特徴を出し、また味方の持ち味を発揮させるようなプレーを見せた。ゴールという目的に向かって、そこに絡んだ全員がチームのための選択をしたと言えるのではないだろうか。

 試合は結局1-1のドローに終わり、勝ち点1を分け合うことになった。後半早々に失点するなど課題の全てを克服できたわけではなく、選手たちも反省を口にしている。それでも、閉塞感のようなものはなかった。

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