完璧なグループになっているバルセロナ
ラキティッチも、常にメッシの位置を確認していた。ボールを受ける手前、オフ・ザ・ボール時でも常に、だ。クロアチア代表MFの役割は決して派手ではない。それはセルヒオ・ブスケツにも同じことが言える。ただ、メッシという絶対的な存在引き立たせる上で、彼らの存在というのも欠かせないもの。この日もブスケツは相変わらず目立たなかったが、パス本数はチーム最多の106本を記録しているのだ。
サッカーはチームスポーツ。もちろん個の力を武器に驚異的な破壊力を持つチームもある。しかしバルセロナは強力な個を集めた“最高のグループ”になっている。メッシという絶対的存在を生かす。ただそれは依存しているのではなくて、戦術の一つとして、背番号10の存在を最大限に引き出しているのだ。
メッシのためにピッチ上で働いている選手は多い。が、同選手は得点、アシストを量産できるため、そういった面でチームに還元しているのだ。だからこそ、バルセロナはバランスが取れていて強い。メッシはみんなのために、みんなはメッシのためにといった言葉が、ここ最近のバルセロナに一番似合うかもしれない。
CL初戦は大勝。船出は上々だ。ただバルセロナが所属するグループBはいわば“死の組”と呼ばれている。この日対戦したPSVも決して弱くはなかった。また、インテルやトッテナムも曲者だ。ライバルのレアル・マドリーの4連覇を阻止するためにも、グループリーグ突破はもちろん必須。バルセロナの冒険は、まだ始まったばかりだが、油断はならない。
そして、今後もメッシには大きな期待が寄せられる。他にもビッグマッチが勢揃いのCLだが、背番号10の動きなどに注目しながら、PSV戦をもう一度見ると面白いかもしれない。
(文:小澤祐作)
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