「勝つべき試合」に敗れて
「横浜沸騰」のはずが、「監督沸騰」といったところだろうか。
「勝つべき試合だった。うまく戦って、いくつもチャンスを作って、3つか4つのゴールを決めるべきだった。これでは十分ではない。いくつかの点で選手が責任を取らなければならない。我々は毎週試合をすることができるのに、勝っていない。勝利のメンタリティがないということだ」
横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は、16日に行われたJ1第26節の浦和レッズ戦に1-2で敗れた後、記者会見で珍しく声を荒らげた。勝っても負けてもあまり表情を変えない指揮官の感情は、明らかに高ぶっていた。
もう1つ珍しかったのは、「敗戦に対する全ての責任は自分が負う」といった選手をかばう発言がほぼなかったことだ。ポステコグルー監督は敗戦の後も、だいたいは選手の奮闘を称え、自らの采配に責任があることをはっきり示してきた。
しかし、浦和戦は違った。試合展開も少なからず影響しているのかもしれないが。
前半はマリノスが主導権を握っていた。18分には伊藤翔、20分に仲川輝人と遠藤渓太と、立て続けにビッグチャンスを作った。決定機は浦和にもあったが、サイドの裏のスペースを仲川らが積極的に突いたマリノスに分がある流れだった。
ところが、マリノスの右サイドバックに入っていたイッペイ・シノヅカが、本人曰く「止まりきれずに」宇賀神友弥と衝突してイエローカードをもらった40分頃から徐々に風向きが変わり始める。
43分に生まれた宇賀神のゴールのきっかけは、フリーキックから。そのフリーキックは、シノヅカのファウルによって浦和にもたらされた。当の本人は「あれは本当に何もしていない」と語り、見た目にもごく普通のタックルに見えたが、イエローカードの場面での心証が悪かったのは間違いない。
前半終了間際の警告と失点。チャンスの数で上回っていながら、先手を取られると苦しくなる。今季何度も見た光景がそこにあった。崩れ始めたバランスを立て直すのは難しい。一時はウーゴ・ヴィエイラのゴールで同点に追いついたマリノスだったが、ディフェンスラインの一瞬の隙を突かれて再び失点。最終的には1-2で残留争いを脱するために重要な一戦を落としてしまった。