開幕5連勝。強さの土台となるのは?
開幕5連勝と無傷のリバプール。サラーを筆頭とした攻撃陣はもちろん、この強さの土台になっているのはやはり守備だ。
今節のトッテナム戦では、中盤の選手が重要な役割を担っていた。ボールホルダーに対してまずは1人がプレスをかけに飛び出すと、それに呼応するかのように2人目、3人目が周りをカバーし、数的優位を保った上でボールを奪取。ケイタ、ミルナー、ワイナルドゥム以外にもマネやフィルミーノが下がってくることで相手を挟み込むこともできた。
事実、この試合で最もタックルを成功させていたのは中盤のミルナー(5回)だった。また、ケイタもアンドリュー・ロバートソンのカバーリングを怠らず、豊富なスタミナで幅広いエリアを動き回った。ワイナルドゥムも武器である縦への推進力を存分に発揮して攻守両面で躍動。チームで3番目となるシュート数2本を記録している。
データサイト『Who Scored』によるヒートマップを見てみると、トッテナムは自陣センターサークル付近のエリアが真っ赤に染まっていた。これも、リバプールの中盤の選手によるハイプレスとしつこい守備が生んだ結果であることは間違いない。自陣の高い位置でしっかりと防波堤となるブロックを作りながら、隙を見ては果敢な飛び出しで自分たちのエリアへの侵入を幾度となく阻んだのである。だからこそ、トッテナムは自陣でのボールキープが増え、打開策を見つけ出せないままミスパスを連発し、カウンターへと持ち込まれたのだ。
中盤の選手による守備面の貢献度はもちろん、ビルヒル・ファン・ダイクの相棒がなかなか定まらずリバプールの課題となっていたCBも、ジョー・ゴメスの好調によって解決した。さらに今季はGKにアリソンがいる。攻撃のベースは昨季で完成されていたため、守備面での熟成が必要だったリバプール。その点もすでに解決へと近づいている。事実、リーグ戦4試合でわずか2失点と、結果にも表れている。
ユルゲン・クロップ体制4年目にしてリバプールは完成形を築いたのかもしれない。まだシーズンは序盤だが、1989/90シーズン以来のリーグ優勝への期待は高まるばかりだ。
(文:小澤祐作)
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