守備陣強化も成熟度はまだまだ
アーセン・ヴェンゲルによる22年もの長期政権が終わり、今シーズンからウナイ・エメリ監督が就任する。前監督は多額の資金投入でチームを激変させていくというサッカー界の流行に抗い続けたが、新監督は今夏、積極的な補強を行った。
まず、ドルトムントからソクラティス・パパスタソプーロスを獲得し、昨季のプレミアリーグトップ6で最多の51失点を喫した守備陣の補強に着手した。
フランス2部のロリアンから獲得した19歳のMFマテオ・グエンドウジは今夏の補強の成功例だろう。中盤でボールを持つと、鋭いスルーパスを前線に供給しチャンスを演出している。開幕から4試合連続で先発出場しており、すでに指揮官からの信頼と期待が伺える。
前線は現有戦力で戦えるというのがクラブの考えだろうか。ピエール=エメリク・オーバメヤン、アレクサンドル・ラカゼット、メスト・エジル、ヘンリク・ムヒタリアン、アーロン・ラムジー、ダニー・ウェルベックなど様々な特徴を持った選手が今季も在籍している。
しかし、ライバルチームと比べれば、ガナーズのアタッカー陣は層が薄い。補強で強化した守備陣が昨季より失点を減らし、オーバメヤンやラカゼットが怪我なく力を発揮しない限り、新指揮官の初年度は厳しいものになるだろう。
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