UNLがテストの場? 焦点はEURO予選突破
ロシアW杯でも戦術のトレンドの一つとなっていた、パス交換からのスピーディーなカウンター。プレー自体のアップデートを図ろうというマンチーニ監督の意識が垣間見れるところだ。
もっとも熟成不足はさすがに否めず、勝利という結果には繋がらなかった。だが指揮官はこう言い切った。「我々の目標はあくまで欧州選手権への予選通過にある。選手には国際経験が少なく、欠点は改善していかなければならない」。つまりネーションズリーグを、19年3月から始まる欧州選手権予選に向けたチーム作りとテストの場と位置付けているのだ。
イタリアはあくまでW杯で予選落ちを喫した国であり、その立ち位置を冷静に把握しなければならないと考えるのは現実的な判断である。ポーランドとポルトガル相手に良い結果が出せなかったことも、十分想定内だったのかもしれない。
だが地元メディアは、そんな監督の考えに疑問を呈している。ガゼッタ・デッロ・スポルトは「ネーションズリーグは親善試合ではなく、単なるテストの場であるはずがない。これを捨てることは格下への転落を意味し欧州選手権予選にも響くはずだが、マンチーニはそれを想定していたのか」と批判した。
W杯で4度優勝した国が予選落ちしたというショックに続き、ファンやメディアは勝てないアッズーリにフラストレーションを募らせている。マンチーニ監督は冷徹に現実を見る姿勢を打ち出しているが、雑音の中で落ち着いて仕事を進めることはできるのだろうか。
(文:神尾光臣【イタリア】)
【了】