結果よりチーム作りを重視した新指揮官
もっともこの2試合、指揮官が何がなんでも結果を出そうとしていたようには見えなかった。いやむしろ、結果よりもチーム作りを優先させていたのだ。招集は若手中心、中にはトップチームで出場機会を得られていなかった若者もいた。そして実戦では、初の代表招集だった選手をさながら親善試合のノリで先発起用していた。
7日のポーランド戦では、故障上がりという無理を承知でバロテッリを先発させる。左サイドバックには、大方の予想を裏切ってフル代表初招集のクリスティアーノ・ビラーギを起用した。1点ビハインドの後半途中からは、ロレンツォ・インシーニェに代えてフェデリコ・キエーザを使った。
2日後のポルトガル戦では、そのキエーザが先発フル出場。システムも4-3-3から4-4-2へと変更された。驚きだったのは最終ラインだ。ジョルジョ・キエッリーニやレオナルド・ボヌッチらのベテランがベンチに回り、アレッシオ・ロマニョーリとマッテオ・カルダーラの若いCBコンビが起用される。そして右サイドバックには、SPALから抜擢された初招集のマヌエル・ラッザリが使われていたのである。スピードのある突破で格上を脅かしたセリエAでのパフォーマンスを見ていれば、代表入りに不思議はない。しかし、いきなりポルトガル相手に先発起用するとは大胆だった。
マンチーニがやろうとしているサッカーも、割と明確な印象だった。ナポリからチェルシーに移籍したジョルジーニョをレジスタとして固定し、後方から細かくパスをつないでビルドアップ。攻撃では、スピーディーに縦をえぐる。
特にポーランド戦の76分、同点となるPKを奪取したシーンにはそれがよく表れていた。ボヌッチがレバンドフスキからボールを奪いジョルジーニョへ。前線に出されたグラウンダーの縦パスを受けたキエーザは、アンドレア・ベロッティとパスを交換しゴール前へ走り込む。最終的にはエリア内でファウルを誘ってPKを得るが、そこまでのカウンターは実に美しいものだった。