世界王者を成長させるネーションズリーグの舞台
今回のこの2戦の戦い方を見て感じたのは、デシャン監督は、W杯ではなんとしてでも結果を出すために、あの『守備重視でカウンター作戦』を敢行したのだなということ。
今後はここからのステップアップを考えている様子だ。たとえば来月のアイスランドとのフレンドリーマッチを使って、同じメンバー、もしくは他の戦力を使った別オプションも試していくかもしれない。
オランダ戦では62分に左SBエルナンデスに替えてバンジャマン・メンディを投入した。ジルーの決勝点を引き出したのは彼のお得意のセンタリングだ。またドイツ戦では、ウスマヌ・デンベレを、これまでのようにエムバペとではなくジルーと交代した。この時はグリーズマンが前に出る形になったが、エムバペは今季、PSGではトップの位置でもプレーして好感触をつかんでいる。フランス代表でもエムバペをトップで使うオプションもあるかもしれない。
W杯優勝という経験と自信を手に入れたフランス代表は、まだまだ伸びしろのある未知なるチームだ。今後どこまで、そしてどんな形に成長していくのか、ネーションズリーグの過程でそれが見えてくる。
ひとつ確かなのは、エムバペは今後数年間、レ・ブルーの主砲として君臨するということだ。そして彼の強みを最大限に生かせる名ユーティリティー、グリーズマンの存在も絶大であるということ。
これからこのチームに加えていきたい数々のプラス要素が、デシャン監督の頭の中にはいっぱいに詰まっていそうだ。
(文:小川由紀子【フランス】)
【了】