「ポスト・長谷部誠」の称号を手に入れるためには
長谷部が代表引退を表明し、ボランチをどうしていくかというのは、森保ジャパンの最重要テーマの1つと位置付けられていた。そんな中、新コンビが1つの解決策を示してくれたのは、指揮官にとっても心強い材料のはず。
ロシアワールドカップで主力として眩い光を放った柴崎岳が目下、所属クラブでボランチの4番手という苦しい立場を強いられており、同じくロシア組の山口蛍や大島僚太がケガで離脱して先々の動向が不透明になる中、ボランチの軸に1つのメドが立ったことは、やはり前向きに捉えていいはずだ。
その中盤の一角を、リオ世代のリーダーである遠藤が占めることは、世代交代を推進していくうえで大きな意味がある。
「『A代表で再会しよう』という話はみんなでしていたので、実際にそうなってきたのは非常に嬉しいこと。でも、みんな満足なんてしていないし、他にもリオ組はいっぱいいるので、『これからの代表はリオ組が引っ張っていく』くらいの気持ちでやらないといけない。そうなっていけばいいなと思います」と背番号6自身も並々ならぬ意欲をのぞかせたが、そのけん引役として十分やっていけるだけのパフォーマンスを示したのは紛れもない事実。
実際、試合終盤は中島、浅野拓磨、三竿健斗らを含めてほぼリオ世代という状況になっていたが、混乱やバタバタ感は感じられなかった。そうやって統率力のある遠藤がボランチとしてドッシリ構えていることは、周囲に安心感と安定感をもたらす。そういうオーラをより高めていくことが、異国に渡った25歳のボランチに課せられた命題だ。
とはいえ、今回のコスタリカがワールドカップレベルのメンバー構成でなかったことは、彼自身もしっかり脳裏に刻んでおかなければならない点。青山も「今日の相手はレベル的に今一つだった」と率直な感想を吐露していた通り、ここで満足していたら4年後のワールドカップで8強の壁を破ることは困難だ。
今回のシリーズでアルトゥーロ・ビダルを擁する強豪・チリと戦えなかったことは残念だが、10月にウルグアイとも試合ができる。今回より1段階、2段階クオリティの高い相手と戦った時こそ、新ボランチコンビの真価が問われる。そこでも遠藤が今回と同じような冷静さと落ち着きを示すことができれば、「ポスト・長谷部」の称号は本当に彼のものとなるはずだ。
(取材・文:元川悦子)
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