「救世主」としてあまりに過剰な期待
まだスタートしたばかりだが、監督・本田圭佑への期待値は高い。いや、高すぎると言ってもいいくらいだ。
現地メディアと話すとカンボジアサッカーがクリアすべき問題が次々と出てくる。選手を育成するためのアカデミーのレベルの向上や、地元プロリーグと代表チームの運営を担う連盟との軋轢など多岐にわたる。
「本田がトップダウンで変えてくれれば…」と現地メディアは期待を寄せ、チャムラーン氏は「そのくらいじゃないとこの国は変わらない」と危機感を持っている。だが、本田はあくまでも監督だ。すべての問題の解決を望むのはさすがに過剰ではないか。
サッカー発展途上のカンボジアにおいて、本田は「救世主」のような扱われ方をされている。期待が高いぶん、歯車が狂い始めたときの反動が心配だ。ピッチで結果を出し続けるしかないだろう。
このさき、本田には多くの問題が待ち受けているだろう。その困難を乗り越えられるかはもちろん彼次第ではある。1つたしかなのは、ここからの2年間は何もかもが「新しい」ということだ。本田圭佑は人類未踏の地への挑戦者としての一歩を踏み出した。
(取材・文:植田路生【プノンペン】)
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