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日本代表 6年前

中村俊輔の正統後継者現る!? 天野純が誇るJ屈指の左足の秘密、日本代表の新たな武器に

text by 舩木渉 photo by Getty Images

唯一無二の武器、その価値の証明を

 キックやフォームの安定感が増したことで相手選手の壁に当ててしまう回数は「7」から「2」に減少し、ゴールの枠内により高い確率で強烈な一撃を打ち込むことが可能になった。昨季は16本のうち「横」のキックが10本、「縦」のキックがいずれも長めの距離から5本だったのに対し、今季は「横」のキックは6本、「縦」の9本に変化した(昨季も今季もグラウンダーなど他の蹴り方が1本ずつあった)。

 今季、リーグ戦で決めた直接フリーキックは「縦」と「横」の蹴り方で1本ずつ。本来は長めの距離から蹴る場合に使っていた方法を、より近距離からでもゴールを狙うために使えるようになっている。Jリーグ屈指のキック精度を誇る選手のアップデートは、相手にとって脅威以外の何物でもないだろう。

 ちなみに「横」と「縦」のキックは、助走の取り方である程度見分けることができる。「横」の場合はゴールに対してほぼ平行に助走し始めるのに対し、「縦」のキックはゴールに対して右方向に30度ほど傾いた位置から動き出す。2種類のキックを状況に応じて柔軟に使い分けることができるのは、キッカーとして大きな強みだ。

 天野は「フリーキックのスペシャリストとして日本代表で生き残っていく、という気持ちはあるか?」と問われて「それはないです」と断言した。そして「セットプレーはおまけというか、そんなものだと思うので、まずは自分の流れの中のプレーを見て欲しい」と強調していた。

 とはいえセットプレー、フリーキックで他にない強みを発揮できれば、日本代表への定着につながるはず。追加招集という身であり、さらにチリ戦が中止になったことでアピールのチャンスは減ってしまったが、ここにきて実戦形式の練習の中でボランチだけでなくトップ下としても試されるなど、A代表デビューへの期待も高まる。コスタリカ戦でチャンスを掴んで唯一無二の価値を証明したいところだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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