堂安と伊藤、東京五輪世代に期待大
堂安と同じ2020年東京五輪世代の伊藤達哉はベンチスタートで途中からチャンスを与えられそうな雲行きだ。彼も7日の紅白戦では得意のドリブル突破が空回りし、ゴール前に出ていく回数も少なかっただけに、修正を図りながらコスタリカ戦に照準を合わせている最中だという。
「日本人同士で試合をすると、相手が引いてブロックを作ったりするからスペースが狭く感じる。しかも日本の選手はうまいから、1回相手にボールが渡ったら返ってこない。そういうのはチームとして嫌かなと思って、気を使っちゃったのはある」と小柄なアタッカーは反省しきりだった。
とはいえ、ドイツで3年間過ごし、ブンデスリーガ1部でも戦えるところを示した彼には非凡な修正能力がある。1対1を仕掛けるにしても、ただ突っ込んでいくのではなく、自分のタイミングや駆け引きに持ち込もうと考えている。しかも今回の相手はコスタリカだ。ドイツのDF陣とはまたタイプが違うかもしれないが、外国人とのマッチアップに慣れた伊藤なら相手を凌駕できるはず。仮に出場時間が短かったとしても、そういった能力を見せて、「違い」を示してくれれば理想的なシナリオだ。
その時間帯に堂安との共演が成立すれば、見る者の興味はより高まる。
「(堂安)律は技術がすごくしっかりしてて、少ないタッチでポンポンとやっていけるのも彼は好き。一緒にやる時間が合ったら、タッチを少なめにして、お互いの距離感を意識しながら、やったら面白いのかなと思います」と伊藤は具体的なイメージを語ったが、そこに南野や中島が加わっても細かいボールコントロールからリズムの変化が加わるだろう。
コスタリカにどこまでこういった攻めが通用するか分からないが、彼らにはぜひとも思い切ったトライをしてほしい。そこで1つでも2つでもチャンスが生まれ、得点につながれば、チームに新たな風を吹かせることができ、日本代表の新時代到来を印象づけられる。森保監督も初陣でそれだけの大きな収穫が得られたら満足に違いない。若くフレッシュな人材が躍動する新生サムライブルーに期待したい。
(取材・文:元川悦子)
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