最小限の補強で臨む18/19シーズン
バイエルンは昨シーズン、他を寄せ付けない圧倒的な強さでリーグ6連覇を成し遂げた。27勝3分4敗、勝ち点84。2位に大差をつけての快挙だった。また、チャンピオンズリーグでも2シーズンぶりのベスト4進出を果たすなど、ドイツ王者の面目を保っている。
迎えた今シーズン、絶対王者は新たな体制で戦うことになった。昨季はシーズン途中にカルロ・アンチェロッティを解任するなど若干の混乱はあったものの、後を引き継いだユップ・ハインケスが見事にチームを束ねた。だが、名伯楽は監督業からの引退を表明。現役時代はバイエルンでもプレーしたニコ・コバチが新たに指揮を執ることとなった。
今夏の移籍市場におけるバイエルンの動きは少なく、移籍金を支払って獲得したのはレオン・ゴレツカのみ。レナト・サンチェス、セルジュ・ニャブリは期限付き移籍からの復帰組だ。アルトゥーロ・ビダルは去ったものの、主力級は軒並み残留しており、チームのベースに大きな変化はない。
マヌエル・ノイアー、ジェローム・ボアテング、マッツ・フンメルスといったドイツ代表組、ポーランド代表のロベルト・レバンドフスキは、ロシアワールドカップでの屈辱を晴らすようなパフォーマンスを見せなければならない。
また、バイエルンはフランク・リベリ、アリエン・ロッベンという世界屈指のウインガーを擁しているが、それぞれ35歳と34歳。彼らの後継者も見出したい。昨シーズンは両者とも怪我の影響でフル稼働とはいかなかった。それでも圧倒的な強さを見せたバイエルンではあるが、彼らの牙城を実力で崩す者が現れてほしいところ。
キングスレイ・コマンのさらなる奮起はもちろん、ニャブリにも期待がかかる。カナダの新星、アルフォンソ・デイビスが来年1月からチームの一員となることも決まっている。将来への投資という意味合いも強いだろうが、魅力的な選手であることに変わりはない。
今シーズンも間違いなくバイエルンがブンデスリーガをリードするはずで、CLの制覇も現実的な目標と捉えているだろう。すでに完成されたチームだが、さらなる進化への伸びしろもあるはず。
選手の入れ替わりが少なかったのは既存戦力への信頼の表れと捉えることができ、新たに加わったゴレツカはチームに刺激を与えるスパイスという位置づけか。
充実の戦力とチーム力で隙のない集団となっているバイエルン。そんな名門をコバチがどのように引き上げていくのか。クロアチア人監督の手腕にも注目だ。