積極補強でスクデット奪還へ
昨夏のインテルの動きに派手さはなかった。フィオレンティーナからボルハ・バレロ、マティアス・ベシーノの2選手を獲得し、サンプドリアからはミラン・シュクリニアルを新チームに加えたが、ネームバリューがあるとは言い切れず、積極的な補強を進めていたライバル・ミランに比べれば少し消極的な補強であったという印象は否めなかった。
ただ名将ルチアーノ・スパレッティ監督のもと新加入選手3人は大活躍を果たした。カウンターとポゼッションを併用する指揮官の戦術において、バレロ、ベシーノの両者は中盤の核になり、同時にロベルト・ガリアルディーニといった若手も台頭した。シュクリニアルは守備の要として強固なディフェンスラインを形成。38試合30失点を記録し、チームの7季ぶりのチャンピオンズリーグ(CL)出場に大きく貢献した。
迎えた2018/19シーズン。インテルの最大の目標はスクデット奪還だ。同クラブはそのミッションを達成するべく、昨季とは異なり積極的な補強を行った。
CBはラツィオからステファン・デ・フライを獲得し、手薄であったSBにはロシアワールドカップでクロアチア代表の準優勝に貢献したシメ・ヴルサリコを、王者・ユベントスからクワドォー・アサモアの引き抜きに成功した。
スパレッティ監督が最も重視する中盤にはローマからセリエA屈指のMFであるラジャ・ナインゴランを加え、やや手薄だったサイドアタッカーにはケイタ・バルデ・ディアオ、サッスオーロで目覚ましい成長を遂げていたマッテオ・ポリターノを確保。課題であったマウロ・イカルディのバックアッパーには21歳ながら背番号10を託されたラウタロ・マルティネスといった将来有望なアルゼンチン人ストライカーをチームに加えた。
その他にもアルトゥーロ・ビダルやルカ・モドリッチの獲得を狙うなど、今夏の移籍市場を賑わせたインテル。この2選手の獲得は実現しなかったが、スクデット奪還へ向けての本気度と積極性は十分に伝わった。
獲得したほとんどの選手がセリエAでのプレーを経験済みと、リーグ自体に慣れる時間はそうかからないだろう。そのため即戦力として数えられる。また、これだけの選手を獲得しながら支出は7750万ユーロ(約100億円)、収入は8950万ユーロ(約115億円)と後者が上回った。そういった点を踏まえても、今夏のインテルの補強はおおむね成功を収めたと言ってもよい。
新シーズンは3試合を終え1勝1分1敗。まだスパレッティ監督が試行錯誤を繰り返している印象は強い。だが、選手の入れ替えが激しい中で迎える新しいシーズンは、どんなに優れた監督であっても最初は少し苦労するものだ。
スタートダッシュには失敗したが、第3節の対ボローニャ戦では3-0の完勝を収めているためここからの巻き返しは十分に期待できる。戦力も豊富であり、CLでもどこまで勝ち残れるか、注目が集まる。