バックアッパーを入れ替え。補強策は功を奏すか
アンドレス・イニエスタが退団した。近年、圧倒的なボール支配率で数々のタイトルを獲得したチームの象徴とも言える選手が去ったが、今夏の移籍市場での大きな動きはなかった。
新シーズンに向けて獲得したのは、CBのクレマン・ラングレ、インサイドハーフのアルトゥーロ・ビダルとアルトゥール、ウイングのマルコムという4人。そして、この全員が控えの質を高めるための補強といえるだろう。
昨季のバルセロナは、リーグとコパ・デル・レイの2冠を獲得したものの、シーズンを通して見ると主力とベンチの質の違いに苦しんだ。前線では、メッシやスアレスのサブとしては力不足だったデウロフェウとパコ・アルカセルを放出。代わって21歳のマルコムをローマから“強奪”した。
さらにDFラインでは、ジェリー・ミナ、リュカ・ディーニュ、アレイシ・ビダルが戦力となれずにチームを去り、セビージャでレギュラーCBとして活躍した23歳のラングレを獲得した。
中盤では、パウリーニョがリーグ戦で9得点をあげる活躍で貢献していたものの、買い取りオプション付きのレンタルで古巣の広州恒大へ復帰し、アルトゥーロ・ビダルを代役として確保。グレミオから21歳のアルトゥールを引き抜いて将来に備えた。
戦力のMAX値をあげるような補強はなく底上げを狙った形だが、それこそがバルサにとって最も難しいことでもある。MAX値をあげるのであれば、世界有数の選手を獲ればいい。しかし、ベンチの層を厚くするとなると、特殊なチーム故にフィットするかはギャンブルと言える。
今夏に放出された選手たちも他クラブであれば十分に主力を張れるレベル。そして、それは獲得した選手も同様であり、来季以降もバルサのユニホームを着ているかは未知数だ。
ただ、イニエスタの抜けた穴はそれほど感じることなく戦えるはず。代わってインサイドハーフに入るのはフィリッペ・コウチーニョが1stチョイスと見られるが、実力は十分。右サイドバックとの併用となるセルジ・ロベルトも下部組織から薫陶を受けた「バルサの選手」。全体を見てもウスマンヌ・デンベレが昨季よりもスケールアップを果たしており、メッシ、スアレスとの3トップもより鋭さが増した。
参加する全てのコンペティションで優勝候補となるが、その全てを勝ち取れるか否かはベンチの質にかかっている。