リバプールのジョー・ゴメス【写真:Getty Images】
リバプールのコーチを務めるトーマス・グランネマーク氏が注目を集めている。同氏は英『BBC』で、「世界でもっとも奇妙な仕事の一つであることは分かっている」と自身の立ち位置を認めた。
先日リバプールのスタッフに加わったグランネマーク氏の肩書きは「スローインコーチ」。その名の通り、スローイン専門のコーチだ。デンマーク人の同氏は、スローインで51.33メートルを投げた世界記録保持者である。
グランネマーク氏は自身の職業を「世界でもっとも奇妙な仕事の一つであることは分かっている」とコメント。ただし、うまく使えば「チームを救うことができる」と考えている。
実際、今季のリバプールのスローインは改善されているかもしれない。イアン・ライト氏は「ジョー・ゴメスがリバプールでまともはスローインを投げているのを初めて見た」と驚き、「彼が何かを伝えているようだ。リバプールはそこから利益を得ていると言うべきだろう」と、その影響を称えた。
スローインのスペシャリストと言えば、ストーク・シティなどで活躍したロリー・デラップ氏が有名だ。だが、当時のストークのようなチームにするつもりはないという。
「リバプールがロングスローからゴールを決めたら、私にとってはパーフェクトだ。ただ、素早いスローやクレバーなスローから得点が生まれても同じことだね」
グランネマーク氏は、ほかのセットプレーに比べてスローインが過小評価されていると主張。「プロサッカー選手が指導なしでワールドクラスの投げ手になると思っていたら大間違いだ。スローインにフォーカスすることで、スモールクラブは救われることがある。上位のクラブだって、よりスムースなプレースタイルを助けることができる」と話した。
リバプールのほかにもデンマークのミッティランとホーセンスなどでスローインを指導しているグランネマーク氏。この2チーム合わせて昨季のリーグ戦ではスローインから10得点を決めているそうだ。
また、グランネマーク氏によると、ロングスローには25~30個の技術的なポイントがあり、しっかり分析して改善すれば、どの選手も平均して4~8メートルは飛距離が伸びるとしている。実際、ミッティランからボルシア・メンヒェングラッドバッハへ移籍したMFアンドレアス・ポウルセンは、ロングスローの飛距離が25メートルから37.9メートルまで伸びたとのことだ。
グランネマーク氏の世界記録は、ハンドスプリングスローで誕生した記録。そこには多くの技術が秘められているようだ。
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