アジアカップに向けた競争はすでに始まっている
青山は「森保さんのサッカーの肝は、やっぱりコンビネーションだと思いますね。特に前の3人とワイドの選手にボールが入るまでしっかりとビルドアップをしながらクサビを入れてたり、サイドチェンジを使ったりして、一気にスピードを上げられるかどうか。緩急をつけていくことも大事ですね。クサビが入った後のスピードアップとパワーが生命線だと思っています」と戦術のポイントを語っていたが、その組み立てとリズムは実際にピッチ上で繰り返さなければスムーズにできるようにはならない。
A代表にはクラブのような長い時間は与えられないから、エッセンスだけを全員が理解して、即座に実行に移せるようにする必要がある。
堂安ら4人が合流する合宿2日目の4日からは戦術トレーニングに本腰を入れていくと見られる。まずは3-4-2-1で戦った経験が豊富な青山、槙野、遠藤らが率先してピッチ上で森保監督のやり方を表現していくことが肝要だ。チリ、コスタリカという強敵相手に突貫工事の新生日本代表がどこまでいい戦いを見せられるか。それも彼らの振る舞いしだいと言っていいだろう。
森保監督は「9、10、11月のインターナショナルマッチデーにたくさんの選手を招集させてもらって、選手の特徴を見ながら、来年1月のアジアカップに向けてやっていきたい」と話している。つまり、9月の2試合も今回呼ばれた面々にとっては重要なテストの場なのだ。3-4-2-1に合ったプレーを見せられない人間は代表から遠ざかることになってしまう。森保ジャパンで生き残るためにも、選手たちはガツガツしたところを示さなければならない。
長谷部誠や本田圭佑といった強烈な個性が去った今、新たな選手たちには「自分たちがやってやる」という気概を見せてほしい。そういう空気を作れるか否かも、青山ら「森保チルドレン」にかかっている。彼らに注目しながら、今回の9月の新体制初陣2連戦を見てみたい。
(取材・文:元川悦子)
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