主力を大量放出。上位進出へのカギは…
昨季はリーグ戦3位、チャンピオンズリーグ(CL)でもベスト4に進出するなど好成績を収めたローマ。しかし、そんなチームを支えたアリソンやラジャ・ナインゴラン、ケビン・ストロートマンといった面々は、この夏でクラブを去った。これらの選手はローマにおいて欠かせない存在であったことは間違いなく、主力の大量放出に不安を覚えたサポーターも多いだろう。
上記した3選手の穴埋めに迅速な対応をみせた点は大きな評価に値する。パリ・サンジェルマンで立場を失っていたハビエル・パストーレ、ロシアワールドカップ優勝メンバーであるスティーブン・エンゾンジをセビージャから獲得。アリソンの後継者にはスウェーデン代表としてロシアワールドカップにも出場したロビン・オルセンを迎えた。エンゾンジは30歳、パストーレ29歳、オルセンは28歳と年齢はやや高めだが、経験値は豊富だ。
ただ、あくまで“穴埋め”という印象は否めず、戦力アップに成功しているかと問われれば疑問が残る。パストーレやエンゾンジは確かに実績があるが、長くローマを支えたナインゴランやストロートマンのレベルを上回っているとは言い難い。オルセンもワールドカップでの活躍は印象的だったが、クラブレベルでの実績が乏しいのは事実だ。
そこで注目されるのが今夏ローマに加わったブライアン・クリスタンテとジャスティン・クライファートといった若手。前者はアタランタで強烈なインパクトを残し、イタリア代表入りも果たした実力者だ。後者は名門・アヤックスで台頭した注目の19歳。足元のテクニックに優れたウィンガーであり、父はオランダの英雄・パトリックだ。この両者は成長過程にあり、ある意味未知数ではあるが、シーズンを通して覚醒すればそれこそローマにとって大きな戦力アップになるはずだ。
4-3-3のフォーメーションをベースとするローマにおいて、クライファートが活きる可能性は高い。クリスタンテもセリエAという舞台に慣れており、即戦力としてチームに貢献できるだろう。あとはサッスオーロ時代に数々の若手を育て上げたエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督の手腕が問われることとなりそうだ。