優先順位の高くないポジションを積極補強
ジネディーヌ・ジダン監督のもと、チャンピオンズリーグ(CL)3連覇という偉業を成し遂げたレアル・マドリーだが、今シーズンは大きな改変のときとなる。
2016年1月の就任から数々のタイトルをもたらしたジダン監督が退任。さらにクリスティアーノ・ロナウドがユベントスへ移籍。09/10シーズンにマンチェスター・ユナイテッドから加入し、昨シーズンまで公式戦438試合に出場して450得点131アシストという得点数が出場数を上回る驚異的な成績を残していたエースの退団によって、チームは大きな変化を求められる今シーズンとなった。
そんな新たな歴史のスタートを託されたのがフレン・ロペテギ監督。これまでスペイン代表を率いてきたロペテギ監督だが、マドリーとの契約を発表したことによって、ロシアワールドカップ開幕直前に解任されるなど大きな騒動を巻き起こしての就任となった。
マドリーが今夏に獲得したのは、GKティボー・クルトワ、右サイドバックのDFアルバロ・オドリオソラ、FWヴィニシウス・ジュニオール、マリアーノ・ディアス。この中でヴィニシウス・ジュニオールは昨年の夏に獲得を決めており、18歳となった今季から加入という形であり、チームの現状を見ての補強ではない。
さらに、GKにはケイラー・ナバス、右サイドバックにはダニエル・カルバハルという選手がおり、層を厚くする意味では有効だがそれほど優先順位の高くないポジションの補強であり、最も補強すべきアタッカーはマリアーノ・ディアスを買い戻しで獲得したのみ。昨季はリヨンでリーグ戦18ゴールを決めて評価を高めたが、レアル・マドリーというチームの戦力を上げる存在かは未知数だ。
ただ、クリスティアーノ・ロナウドが去ったことにより、カリム・ベンゼマとギャレス・ベイルに変化の兆しが見られている。これまでの攻撃の中心はあくまでロナウド。ベンゼマとベイルはロナウドの“引き立て役”とならざるを得ない状況といえたが、今季からはよりエゴを出すことが可能となる。
特にベンゼマの変化が顕著に現れている。昨季は32試合に出場して5ゴール11アシストという数字だったが、今季は2試合連続の2ゴールを決めて3節終了時点で4ゴール。早くも昨季のゴール数まで1と迫っている。さらに、マルコ・アセンシオが左ウイングのポジションを得ることによって大きく成長を遂げる可能性は十分にある。
ここまでの対戦相手はヘタフェ、ジローナ、レガネスと大きく力の劣るチームだったため、まだロナウドの穴が埋まったとは言い切れない。今後、バルセロナやアトレティコ・マドリーそしてCLと力の拮抗した相手との試合でどのようなパフォーマンスを見せるかが大きな注目ポイントとなるだろう。