「この悔しさを晴らせるのも僕らしかいない」(三好)
立田のように「アジアの中でこれだけ力の差があるのかと実感しましたし、韓国にも海外でやっている選手がたくさんいるので、自分も早く海外に行きたいと思いました」と、はっきり海外挑戦の意思を示した選手もいる。
確かに彼らは「銀メダル」だった。つまり韓国に負けて大会を終えたということだが、それでマイナスの評価を下し、ダメだったと結論づけるべきではないだろう。むしろ東京五輪まで“まだ”2年残っている現段階であれば「銀メダルでよかった」のではないか。
「韓国の選手も相当気持ちは入っていたと思いますけど、自分たちも本当に好きなサッカーをやっているわけで、そこに関しては本当に人生をかけてやっているし、それだけ意地と意地のぶつかり合いというか、そこで負けてしまったのは自分自身すごく悔しかったし、終わった直後は正直何も考えられなかった」
そう語る立田をはじめ、何人もの選手が試合終了の笛が鳴った瞬間、ピッチに仰向けに倒れこんだ。それだけ韓国との決勝にかける思いが強く、悔しさもこれまでに経験した以上のものだったということだろう。この悔しさを原動力とし、今後のキャリアに活かさない手はない。
チームキャプテンを務めた三好は言う。
「(今大会の銀メダルがキャリアに)活きてくるというより、活かさなければいけない。この悔しさを味わったのは僕らしかいないですし、この悔しさを晴らせるのも僕らしかいないと思うので、本当にこれから先、もっと大きな舞台で戦えるように自分たちが成長できればなと思います」
アジア大会は、あくまで東京五輪に向けた教科の道筋の一部に過ぎない。ここで経験した悔しさ、無力感、自信…全ての感情や感覚を所属クラブに持ち帰り、彼ら自身の成長につなげていくことが、何よりも重要なことだ。
「韓国に負けて悔しかった」で終わるのではなく、「あの負けの悔しさがあったから、自分はここまで成長できた」と数年後に、より大きな舞台で言えるように。ピッチ内外で逆境ばかりだったアジア大会をタフに戦い抜いた選手たちには、この経験を活かして今後のより一層の成長を大いに期待している。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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