大会中に示した確かな成長。それ故の悔しさ
正直なところ、今大会の韓国にここまで善戦できるとは思っていなかった。これまでの6試合で積み上げてきたU-21日本代表の成長は、確かにピッチ上に現れていた。そうでなければ大量失点で粉砕されていてもおかしくなかっただろう。
「全ての部分、メンタル的にも、技術的にも、戦術的にも、フィジカル的にも、今大会を通して選手たちが成長してくれたと思っています。この短い期間で7試合をやれて、相当ハードな中で選手たちが成長してくれたと思っています。毎試合ごとに選手たちが試合を振り返って、自分たちで成果と課題を整理しながら次の試合に活かしてくれた」
森保監督は、選手たちの大会に臨む姿勢を称えた。グループリーグ序盤はほとんど練習する時間がない中で、選手間の意識を共有する場はピッチ外にしかなかった。グループリーグ最終戦ではベトナムに敗れ、球際の競り合いの重要性を再確認し、サッカーを基本から見直すことでパフォーマンスは上がった。
決勝トーナメントに入ってからも、やはり戦術練習がまともにできない中で、ラウンド16のマレーシア戦、準々決勝のサウジアラビア戦、準決勝のUAE戦と、蓄積する疲労とも戦いながら、それぞれの試合で出た課題を次の試合でクリアにしていく作業を続けてきた。
それでも韓国には及ばなかった。もちろん相手には歳上の選手が多い、というエクスキューズもある。だが、三好が「やっぱり結果として銀メダルというのが現状なので、そこは結果というのを真摯に受け止めなければいけないと思う」と述べたように、単純に力不足を痛感していた。彼らの意識は韓国との手に汗握るバトルの中で、同世代ではなく、より上の場所に、そして世界に向いていっていた。
「これが自分たちと今の韓国の力の差だと感じました。これから先、自分たちが目指すところでは年齢なんて関係ないと思っているので、この悔しさは先につなげるしかない」と三好は言う。
ディフェンスリーダーとして不可欠な存在だった板倉滉も「世界を意識するか? やっぱり意識しますね。プレミアリーグで活躍している選手(ソン・フンミン)だったり、ザルツブルクの選手(ファン・ヒチャンのこと。先日ドイツ2部のハンブルガーSVに移籍)もそうですけど、個人個人のレベルが高いなと感じましたし、自分も負けていられないなという気持ちがすごく強くなりました」と、韓国に敗れたことからさっそく大きな刺激を受けていた。