一瞬に全てをかけて
韓国戦はここまでに積み上げてきたものの全てを100%以上にして発揮しなければ、勝つことができない。東京五輪世代のチームとしての真価が問われる。球際で少しでも弱気になればソン・フンミンはそこを見逃さないだろうし、一瞬でも判断が遅れればイ・スンウやファン・ヒチャンに切り裂かれ、最後の最後で体を張れなければファン・ウィジョの強烈な一撃を浴びることになる。
「韓国は強いチームですが、相手がどうであれチャレンジすることには変わりないと思いますし、最善の準備をすることに変わりないと思いますし、自分たちの力を対戦相手に全てぶつけることにも変わりはないと思いますので、これまでやってきたことを思い切り明日の試合で出してほしい」
森保監督は、金メダルを目の前にした一戦を前にこう強調した。常に相手の先をいくこと。韓国以上のチャレンジャー精神で、韓国以上の準備をし、韓国以上のモチベーションを1つひとつのプレーにぶつける。先手をとって有利な状況に持ち込むことが勝利への鍵になりそうだ。
「相手に人生がかかっているところで、三好も『自分たちの人生もかかっている』と言ってくれた、これはすごいことだと思う。国によって置かれている環境が違い、どうモチベーションを持つかとか、ハングリーな部分を出すかは一様ではないですけど、日本は日本のやり方で人生をかけて戦っている。選手たちは強い気持ちを持って、1つひとつのプレーと、1試合を大事に戦ってほしいなと思います。キャプテンがそういう言葉を発してくれたのは、チームとしてもそういう気持ちを持っているということだと思います」
森保監督も、選手たちの決勝戦に臨む上での覚悟を感じている。たかがアジア大会、されどアジア大会。たかが1プレー、されど1プレー。試合開始の笛が鳴った瞬間から、試合終了の笛が鳴る瞬間まで、一瞬一瞬の全てにフルパワーをぶつけて、後悔なくピッチに倒れ込めるまで戦い抜いてほしい。その先に、表彰台の頂点と金メダルという歓喜が待っている。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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