森保監督が求める「サッカーのベース」
他の東京五輪世代の選手たちはどうか。アジア大会では森保監督が「サッカーのベースの部分」と強調していた球際の競り合いで後手を踏む試合が多くあった。さらに刻々と変化する状況に柔軟に対応する能力も課題になった。すでにA代表を経験した初瀬亮のような選手もいるが、すぐに多くの選手がA代表へ“昇格”とはいかなそうだ。
西野朗監督のもとでコーチとしてロシアワールドカップにも帯同した森保監督は、「監督としてアプローチの仕方は違うかもしれないですけど、西野さんと同じようなことを選手に求めていきたい」と述べている。
「A代表と五輪代表のコンセプトは共有しながらやっていきたい」という指揮官の言葉をもとにすれば、アジア大会やトゥーロン国際大会などでU-21日本代表が見せてきた戦術がA代表にも持ち込まれる可能性は高い。3-4-2-1のシステムでボールポゼッションを高めて相手ゴールに迫り、ボールを失えば5バックになってゴールを守るのが基本的な戦い方になる。
そのうえで森保監督は「球際のところで戦う部分、デュエルなのか、バトルなのか、球際で戦うなのか、コンタクトするなのか…そういうところはベースで絶対ある。ボールを奪った瞬間、ボールを保持している時も、(相手の)背後を狙っていくというところはベースとして消さないで欲しい」と語る。
ヴァイッド・ハリルホジッチ、西野朗とバトンを受け継ぐ中で日本代表に植えつけられてきた「原理原則」は、今後もチームの基礎になる。これらをA代表のレベルで、つまり日常的に欧州リーグの厳しさを経験している選手たちと同等のレベルでできるようにならなければ、東京五輪世代の選手たちに日本代表入りの道は開けてこない。
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