勝つために「暗くやるよりも明るく」
U-20ワールドカップの予選も兼ねていたAFC U-19選手権の決勝は、サウジアラビアに大いに苦しめられながらも延長戦含めた120分間を0-0でしのぎきり、PK戦の末に勝利を収めた。苦しい展開でも一体感を失わず、チーム一丸となって戦えたのは、ピッチ内外でしっかりとコミュニケーションをとれていたことが大きな要因だったと言えるかもしれない。
「楽しくするのは大事だけど、厳しくするのも大事なので、チームとして向上心を持ってできるのがベストだし、その中でチームとして盛り上げていかないと。暗くやるよりも明るくまとまってやれれば、チームとしての士気は上がると思う」
アジア大会のU-21日本代表には、海外組を含めた一部の主力選手を招集できておらず、過密日程の中でけが人も出てきた。それでも試合を重ねるごとに、チームの一体感は高まっていることは、選手たちの行動や言動の端々から感じられる。
ソン・フンミンやファン・ウィジョ、チョ・ヒョヌといった現役A代表クラスのオーバーエイジ選手や、ロシアワールドカップにも出場したイ・スンウ、ファン・ヒチャンも揃える韓国にも、団結して挑めば必ず勝機は見えてくる。準備期間は2日間しかないが、積極的なコミュニケーションがその不足分を補うことも不可能ではないはずだ。
初瀬も「(金メダルがかかっていると)燃えますね。アジア大会で金メダルを獲れば自信になると思うし、U-19の選手権でも優勝できたことでU-20ワールドカップにつながったと思います。東京五輪でメダルを獲るにはここで1位にならないといけない。全力で戦いたい」と意気込み十分。
もちろん東京五輪に向けて生き残りをかけてアピールも必要な段階であることに間違いはない。だが、チームとして戦えるかどうかは、1つの大会を勝ち抜くうえで個人のアピールよりも重要になる。来月1日の決勝、日韓戦は若き森保ジャパンの成長と、団結力が問われる総力戦だ。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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