ソン・フンミンら豪華攻撃陣を起用
試合が始まった直後から、これまでとは明らかに違う韓国代表だった。「兵役免除」には金メダルが必要という巨大なプレッシャーが、自信に変わりつつあるかもしれない。
29日に行われたアジア競技大会の準決勝で、U-23韓国代表とU-23ベトナム代表が激突した。試合前からスタジアム周辺には両国のトレードマークである「赤」をまとったファンが多数集まり、観客動員は5698人を記録。ホームであるインドネシア代表の試合以外では異例の盛り上がりを見せた。
ベトナムもグループリーグで日本を破り、1月のAFC U-23選手権では準優勝に輝くなど力のあるチームだが、この日は立ち上がりから韓国が主導権を握った。プレッシャーからか序盤に脆さを見せ、先制するまで落ち着かないことが多かったこれまでの韓国とは違う姿がそこにあった。
先発メンバーにオーバーエイジ枠で招集した3人を全て起用。さらに今大会8ゴールで得点王間違いないのFWファン・ウィジョを頂点に、2列目には左からイ・スンウ、ソン・フンミン、ファン・ヒチャンとロシアワールドカップに出場したA代表の主力をずらりと並べる。
アジア大会は原則的に「U-23」の大会なので、これだけ反則級の選手を揃えると「勝って当たり前」という風潮になってもおかしくない。それが選手たちにはプレッシャーとなり、ピッチ上では足かせになってしまうのである。
だが、痛い目を見た経験は人を強くする。韓国はグループリーグ第2戦でマレーシアに敗れた。序盤にミスから失点し、立て直せないまま前半終了間際にも再び失点。後半は猛攻を仕掛けたものの、焦りから精度を欠いて追撃及ばず。この敗戦によってグループ2位突破になり、決勝までの道のりもより厳しくなった。
決勝トーナメントに入ってからは1回戦で強敵イランを2-0で下すと、準々決勝では1月のAFC U-23選手権覇者にして同年代で圧倒的強さを誇るウズベキスタンと対戦。韓国は延長戦までもつれた激闘の末に、なんとか勝ちをもぎ取った。