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日本代表 6年前

「五輪代表=A代表」を実現するために。若き森保ジャパン、メダルかけてアジア大会準決勝へ

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki

チームは着実に成長。会心のサウジ戦勝利

 これまで以上のタフさが求められる中で、森保監督は「みんながまずは『俺が中心になってやってやる』という思いを持ってやって欲しい。今はみんな疲労している状態で、怪我人も出てきて、じゃあ次に準決勝、勝ち上がって決勝まで行くためには、本当に『俺がやってやる』という思いを全員が持ってやって欲しいです。そういうところを表現して欲しい」と語る。全員のリーダーシップが、チーム全体を高みへと引っ張りあげる原動力になる。

 特に最終ラインは準々決勝のサウジアラビア戦で今大会2枚目のイエローカードを受けたDF板倉滉が出場停止で、股関節の痛みを抱えるDF原輝綺もUAE戦の出場は微妙な状態。これまでほとんどの試合で3バックの中央を担ってきたDF立田悠悟が「今日(サウジ戦)もリーダーシップをとっていたのは(板倉)滉くんだと思うし、その役目を後ろから、もっと自分がやらなければいけないと思う。もっともっと自分がリーダーシップをとってやらなきゃいけない」と述べたように、指揮官が意図するものは徐々にチーム全体に浸透しつつある。

 グループリーグ初戦のネパール戦から、パキスタン戦、ベトナム戦、決勝トーナメントに入ってからのマレーシア戦、サウジアラビア戦と試合を重ねる中で、様々な課題が噴出しては消え、また新たな課題が現れるというサイクルを繰り返してきた。

 初めの2試合は「勝って当たり前」の実力差がある相手に対し、自分たちのやりたいことを消されてからのピッチ上での対応力やコミュニケーションが問われた。今大会唯一の敗戦であるベトナム戦は、立ち上がりからアグレシッブに向かってくる相手に面食らい、指揮官が「サッカーの基本」と語る球際のボールの奪い合いで終始劣勢に立たされた。失点後のメンタリティの回復においても引き続き課題を露呈した。

 決勝トーナメント1回戦のマレーシア戦では、ベトナム戦で突かれた試合序盤の戦い方に改善が見られ、苦しい展開の中でも集中を切らさず粘り強くプレーできていた。何度ピンチを迎えても跳ね返し、最後の最後でPKという少しの幸運もあった。

 そしてサウジアラビアとの準々決勝。これまで課題だった試合の入りが改善され、球際でも激しく戦い、相手の個人能力の高い選手にも慌てることなく対応。システム上のミスマッチもピッチ上での積極的なコミュニケーションで補い、不運な失点にも気落ちせず90分間でしっかりと勝ち切ることができた。今大会中に対戦した中で最も総合力の高い相手に会心の勝利を収めたのである。

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