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Jリーグ 6年前

久保建英に降りた“神様”。「急がば回れ」はいらない。自らの成長へ下した決断とプロの決意

横浜F・マリノスに期限付き移籍で加入した久保建英。所属元のFC東京では満足な出場機会を得られず、周囲の慰留を振り切って下した決断だけに本人も結果を求めていたが、26日のヴィッセル神戸戦でJ1初ゴールを記録。17歳の久保は、自らの成長のために何を思い、プロとしてどのような決意を持っているのか。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

クローズアップされるシュート直前のトラップ

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J1初ゴールを記録した久保建英【写真:Getty Images】

 ミスと焦りも手伝ってボールが浮いたのか。あるいは、意図的に浮かせたのか。出場7試合目にして初めて先発したJ1の舞台で、横浜F・マリノスのFW久保建英が決めた鮮やかなゴールをあらためて振り返ると、シュートを放つ直前のワンプレーがクローズアップされてくる。

 ノエビアスタジアム神戸でヴィッセル神戸と対峙した、26日の明治安田生命J1リーグ第24節。両チームともに無得点で迎えた56分に、四半世紀を迎えたJリーグの歴史上で2番目の年少ゴールが生まれる。主役を演じたのは10日前に電撃的に加入したばかりの、17歳2ヵ月22日の久保だった。

 クロスを放つ体勢から切り返したMF松原健が、右タッチライン際から中央へと侵入してくる。そして、挟み込みにきたDFティーラトンとFW郷家友太の間を縫うようにして横パスを送る。ターゲットはペナルティーエリアに入ったところにいた「15番」だった。

 松原に正対する体勢で、久保が利き足の左足でトラップする。次の瞬間、ボールは50cmほど浮いている。そして、ボールが落ちてくる間に体を時計回りとは逆方向へ、4分の1ほど素早く回転させたときには、すでに左足を振り抜く体勢に入っていた。

 FW伊藤翔をケアしていたDF大崎玲央が、必死に久保との間合いを詰めるも間に合わない。ボールの落ち際を的確にヒットするハーフボレーで、先のワールドカップ・ロシア大会に続き、9月の国際親善試合に臨む韓国代表に名前を連ねた守護神キム・スンギュの牙城を急襲した。

 そして、身長187cm体重84kgのキムが必死に体を伸ばしながらダイブし、懸命に左手を伸ばしたときには強烈な弾道はすでに通過していた。コンパクトな振りから放たれた、右ポストの内側をかすめる一撃。久保は「コースは狙いました」と胸を張りながら、トラップに関しては言葉を濁している。

「覚えていないですね。それはご想像にお任せします」

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