代表惨敗の張本人も、マドリーは歓迎ムード
夏のバケーションが終わり、リーガエスパニョールが始まってみると、あのロシアでの出来事に一喜一憂した日々がはるか遠くに感じられる。
あの元代表監督ロペテギはリーグ開幕戦に柴崎のいるヘタフェに快勝すると、「ロペテギイズムを見た!」などと絶賛されている。連盟に報告せずレアル・マドリーと密約を交わした“裏切り者”で代表惨敗の張本人の1人のはずなのに、愛国者が集まる代表の聖地、サンティアゴベルナベウを埋めたファンは、新監督をブーイングで迎えるでもなかった。
バルセロナでのメッシは超人に戻り、先制ゴールで勝利を牽引した。そこにはあの暗い表情の内気そうな男はおらず、自信たっぷりの王様がいた。笑顔のメッシに「なぜアルゼンチンでは活躍できないのか?」「結局、代表は引退するのか?」などの無粋な質問をする者もいない。
1カ月ちょっとしか経っていないのに、ロシアW杯なんてなかったみたいだ。いや、「あれはあれ、これはこれ」と割り切られて、忘却用の引き出しに片づけられてしまった、と言った方が正確だろうか。クラブでの日常が戻って来ると、W杯が4年に1度のお祭りであることがよくわかる。お祭りだから大騒ぎはするが、終わってみると祭りの後は寂しいものだ。
大会のフォーマット自体、32チームが勢ぞろいしているグループステージは豪勢だが、決勝トーナメントは日ごとに脱落者が出て華やかさを失っていく、という尻すぼみになっている。
コンペティション的にはレベルが上がるし一発勝負には独特の面白さがある。が、「自国の代表が出ているから見る」という一般のファンは離れていく。日本の一般メディアは気紛れだから、日本代表がベルギー戦で大健闘した後日談まではワイドショーも含めて大盛り上がりで、その後潮が引くように急速に関心を失いゼロとなる、というような極端なことが起きたのでは、と想像する。