アジアの頂点を目指す若き日本代表
背番号10を与えられながら、今大会出遅れた三好が「自分が出た時に何ができるかをホントにずっと考えていた」と神妙な面持ちで話したように、彼らはどうすれば自身の特徴を出してチームに貢献できるかを真剣に考えるようになってきている。
こうして競争意識が高まることはチームのレベルアップにもつながる。殊勲の岩崎も「今日のゲームも1人1人がファイトして球際のところでも勝っていた。戦術とかよりも気持ちの部分でチームとしてすごく成長しているのを感じる」と前向きにコメント。森保流アプローチの効果は確かに出ていると見ていいだろう。
岩崎自身、今大会ゴール数を4に伸ばし、京都サンガでの「サイドの仕掛け屋」とは別の顔で輝きを放っている。「このチームでは中でギャップで受けてゴールに向かってドリブルするプレーが多い」と今の仕事にやりがいを感じていることも大きい。それは岩崎同様、クラブとは違う役割を担っている前田、立田らにも言えることだ。
9月3日から始動する新生日本代表でも、森保監督は選手にクラブと異なる役割を求めるだろうが、そうすることで個々のプレーの幅、チームとしての戦い方のバリエーションが広がる。これも時間のかかるアプローチだが、そういう部分を重視していくと見られる。
いずれにしても、対応力や反発力を高めた若き日本がここから目指すべきところは頂点しかない。そのためにも29日の準決勝・UAE戦を乗り切ることが第一。サウジ戦で示した前進のスピードを緩めることなく、勢いを加速させていく彼らの姿をぜひ見たい。
(取材・文:元川悦子【インドネシア】)
【了】