明暗を分けたCBのレベル
チャンスを生かせず、得点が挙げられなかった攻撃陣にも責任はあるだろう。しかし、開幕前から危惧されていたCBの出来があまりにもひどすぎたのも事実。
ジョーンズとスモーリングはお互いに失点に絡むプレーを披露。前者はCKの場面でマークしていたケインに対して大きなプレッシャーを与えることはできず、簡単に得点を許している。後者は前述した通り、モウラとの1対1の場面で軽い対応をみせ、楽に突破を許してダメ押しの3点目を挙げられている。
58分に負傷したジョーンズに代わってピッチに立ったヴィクトル・リンデロフも、交代直後に危険なバックパスからあわや失点というシーンを作っている。この場面では苛立ちを隠せず、ボトルを蹴り上げるジョゼ・モウリーニョ監督が映し出されるなどCBのレベルの低さには指揮官も頭を抱えているだろう。
とはいえこれは今に始まったことではない。シーズン開幕前からモウリーニョ監督は絶対的な信頼を置けるCBを探していた。だが、フロントは獲得に動かなかった。そういった状況でチームマネジメントを任され、結果を残すことができていないモウリーニョ監督か、補強に消極的だったフロントか。これは一体どちらに責任があるのか。現地のマンチェスター・Uのサポーターはどうやら後者に責任があると見ているようだが…。
話を戻すと、確実に言えるのはCBの安定性はどのクラブにおいても重要だ。そういった意味で、この日のトッテナムのトビー・アルデルヴァイレルトは素晴らしいパフォーマンスであった。カバーリング、競り合い、クリーンな守備を90分完遂し、無失点に大きく貢献。同チームからすればこれほど頼りになる存在はいないだろう。マンチェスター・Uからすれば、確保しておきたかった人物であったと改めて実感させられたはずだ。
現在の赤い悪魔には残念ながらこうしたCBは不在だ。今後、マンチェスター・Uはこうした課題にどう取り組むのか。モウリーニョ監督に課された課題は予想以上に大きいものとなった。
(文:小澤祐作)
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