日本戦は「ハイプレス、マンツーマン」
それでも指揮官は戦い方を変えるつもりはないようだ。中国戦後の記者会見では「中国はハイボールやセカンドボールを活用するいくつかのパターンを持っていたが、我々はセカンドボールの局面で戦い、相手陣内の深い位置でプレーしたかった。自分たちのストロングポイントを試合の中で出すことができた」と語っていたが、日本戦でも同様の狙いを持っているという。
先述の『アラブ・ニュース』によれば、前日練習を終えたアル・シェフリ監督は「我々は常にどんな戦術のチームとでも戦う準備ができている。ハイプレスとマンツーマン・マーキングでいく。日本が強いというのは明らかで、彼らはライン間で頭脳的なプレーをするのが得意で、我々がもしタイトなディフェンスを維持できなければ必ず問題が起きる。日本はそこを突いてくるのだから、我々は後半に中国にやられたようなスペースを相手に与えてはならない」と具体的な戦術に言及した。
日本は今大会で唯一敗れたグループリーグ最終戦のベトナム戦で、序盤の相手のハイプレスに苦しめられた。序盤にゴールまで許している。あの試合は誰もが「入りが悪すぎた」と反省する内容で、球際で戦えないままズルズルと悪い流れを引きずってしまったことを悔いていた。
だからこそ、「まずは試合の入りに集中して、自分たちの方に流れを持っていけるように、受け身にならず、勢いを持っていければ」と語る板倉の姿勢は非常に重要になる。サウジアラビアの果敢なプレスとカマラを生かす強力なカウンターに押し込まれてしまえば、相手の思う壺だ。
森保監督も「カマラに気持ちよく仕事させないようにしないといけない。彼のところにパスを出せる選手、時間とスペースがない中でもボールを受けて、ボールを動かせて、配球できる選手が中盤にいるので、9番(カマラ)に出る前のところでしっかりと止めれるように。このあいだの試合でも入りからよかった部分の球際のバトルのところ、しつこさとか、粘り強さとかをしっかりやりつつも、攻撃の部分をしっかり忘れずに、勇気を持って攻撃に回って相手のゴールに向かっていってほしい」と、選手たちにこれまで以上の奮起を期待している。
サウジアラビアの基本布陣は4-2-3-1だが、日本の3-4-2-1とはミスマッチが起こる。身長190cm近いカマラの周りを動き回る、小柄なアル・フアイフは非常に厄介。さらに中盤から大きく展開する力を持った選手もいる。もしショートカウンターを食らえば、破壊力は凄まじく、失点は避けられない。止めるべきはやはり「9番に出る前」になるだろう。