開幕2戦ノーゴールもおおむねポジティブ
ラツィオCB陣の注意は、当然ながらロナウドに行く。その彼がサイドから中央へと移り、そこに中盤の大型MFも走り込む。マーカーが中へと寄ったところで、マンジュキッチがサイドに張って弱点を突く。彼に集めるパワープレーは、昨季もよく使われた戦術である。
そこに左でスタートさせる新戦力のC・ロナウドとのポジションチェンジを絡めたところが、この試合で見せた新機軸だった。冒頭で紹介した追加点の場面でも、この機能性は活かされている。マンジュキッチはマルシッチのマークをファーサイドで振り切って、ロナウドがこぼしたボールに食らいついた。
さて、この試合でもノーゴールに終わったロナウド。ただ前述の通り、マンジュキッチを使った戦術のメカニズムには噛み合っていた。そして、チームプレーを勤勉にこなしていた。
サイドで1対1ができればドリブルで仕掛けるが、それ以外で無理はしない。シンプルにボールを離し、味方へつなぎ、ボールを持っていないところでは動きに工夫を入れてマークを外す。相手GKへのバックパスを全速力で追い掛け、時には自陣深く戻ってボールを奪い返す。キエーボ戦でも見せた姿だったが、ユーベの実直なカラーには溶け込んでいた。
後半にはマルシッチを狙って、積極的なドリブルでの仕掛けを見せる。71分、細かいターンから急激にシュートを放ち、枠へと入れたシーンは見事だった。
「ロナウドは実によくやってくれている。イタリアのサッカーも、仲間のことも理解してきている」とアッレグリ監督は好意的に見ている。
1対1の場面でも、すぐに相手選手がヘルプに来て囲むセリエAには、なかなかスペースがない。この日はパウロ・ディバラが先発から外れ、ベンチで試合を終えたが、チームメイトとの連係の模索もまだ続くのだろう。ただユーベのチームプレーに溶け込み、勝利に貢献したという意味では、CR7の開幕2戦はおおむねポジティブな内容だったといえる。
(文:神尾光臣【イタリア】)
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